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腎症は薬で治る時代

- - - 尿検査で症状進行管理 - - -
- - - 早期発見なら特効薬が - - -


14日は「世界糖尿病デー」。糖尿病は発症すれば、一生つき合う病気。
合併症で怖いのは、年間約1万7000人が新規透析患者になる糖尿病腎症。
しかし、近年は早期治療で治るようになってきた。血糖値だけでなく、尿アルブミン値の管理が重要になる。

 【高血糖の期間が問題】

糖尿病の治療では、過去1-2カ月の血糖平均値を表す「ヘモグロビン(Hb)A1c」が重視され、
6.2%未満になるように生活指導される。
しかし、血糖値ばかりに気をとらわれると腎症の合併は防げない。
AGE牧田クリニック(東京・銀座)の牧田善二院長(糖尿病専門医)が説明する。
「HbA1cが10%で最短5年、7%ぐらいで10年、6.2%でも20年で腎症が出てくる。
腎症の合併は、過去に高血糖が何年続いていたか
が発症に関係するのです。」
現時点の血糖管理が優良でも安心できないのだ。

 【尿検査で早期発見】

では腎症の進行は、どう管理すればいいのか。
「糖尿病と診断されたら、必ず定期的に尿アルブミン検査を受けるべきです。
健診や人間ドッグでは血液検査の血清クレアチニンで腎機能の状態をみることが多いが、
クレアチニン値で異常を示すのは、人工透析が必要になる直前になってからです」
尿アルブミンの基準値18(mg/g)を超えると腎症の発症。
300を超えると数年以内に人工透析が必要になる。
しかし、血清クレアチニンでは、尿アルブミン値が1000以上にならないと異常が分からないという。
「早期発見が重要なのは、今は特効薬があるからです。
18を超えた時点で、すぐに薬で治療すれば100%治ります」
同院の72歳男性の症例では、333あった尿アルブミン値が薬を投与し、8カ月後には9.2に改善している。

 【腎症は薬で治る時代】

その特効薬とは、高血圧の薬。
腎臓が悪くなると高血圧になり薬を処方される場合が多いが、何でもいいわけではない。
「デルミサルタンやアゼルニジビンなど数種類の高血圧の薬には腎症を改善する作用があります。
逆に、他の高血圧の薬の中には、血圧は下げても腎症を悪化させるものがあるので要注意です」
特効薬の組み合わせで、かなり進んだ腎症でも改善する場合もある。
尿アルブミン値が1000ぐらいなら、どうにか正常値まで戻せるという。
「血糖値の方は自己血糖測定器を使った管理を勧めます。
測るのは、食事を始めてから1時間後の血糖値。
何をどれだけ食べると、どれだけ上昇するのか、
自分で確認しながら食事内容を改善することが大切です」

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【糖尿病腎症を防ぐ心得】

・HbA1cが正常値で安定しても、過去に高値が続いていれば腎症は進行する
・腎症が進行していないか、定期的に尿アルブミン値を尿検査で確認する
・腎症になって、タンパク制限食にしても効果はない
・尿アルブミンが基準値(18mg/g)を超えたら、すぐに薬で治療すれば治る
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■追記■
【尿中アルブミンと血中アルブミンのちがい】

アルブミンというと多くの人は血液検査の値を気にしているが、
腎臓の検査で必要なのは尿検査の値。

  血液 → 腎臓 → 尿

順番として、血液が腎臓で濾過されて尿になる。
なので、腎臓のダメージ具合は尿のアルブミンに出る。

腎臓のダメージの進行をイメージで言うと・・
・腎臓という濾過装置(コーヒーフィルター)に小さい穴が少しあいてるうちはすぐに治せる。
 ↓(尿アルブミン値で小さい変化がわかる)
・穴がだんだん大きくなり、数も多くなると、治すのが大変になる。
 ↓(ようやくクレアチニン値に出てくる)
・治せなくなると腎臓の代わりに透析で濾過することになる。

検査は蓄尿でなくてもOK。
蓄尿のほうが正確な値が見られるが、だいたいの数値がわかれば大丈夫。




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